営業倉庫と自家用倉庫の違いとは?倉庫業登録や委託リスクを解説

2026.08.19

営業倉庫と自家用倉庫の違いは「他人の物品を寄託契約で預かるかどうか」にあり、営業倉庫を営むには倉庫業法に基づく登録(いわゆる営業倉庫免許)が必要です。無登録業者に委託すると、火災や事故時の補償が不十分になるおそれや、荷主側の社会的信用を損なうリスクがあります。

  • 営業倉庫は倉庫業法の施設設備基準を満たし、国土交通大臣の登録を受けた倉庫だけが営むことができる
  • 自家用倉庫や運送に付随する一時保管は、倉庫業登録の対象外に区分される
  • EC代行業者などが「配送センター」「フルフィルメント拠点」といった名称を用いていても、そこでの保管が寄託契約に基づく独立した事業であれば倉庫業登録が必要となる
  • 委託前に倉庫業登録証と施設証明、火災保険、寄託約款を確認することが欠かせない
  • 無登録営業が発覚した場合、物流事業社には1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科され、荷主企業には事業継続リスクや信用失墜のリスクが発生する  

営業倉庫と自家用倉庫との違い

営業倉庫と自家用倉庫の大きな違いは、他人から寄託を受けた物品を保管する事業を行うかどうかです。

倉庫業法では、寄託を受けた物品を倉庫において保管する事業を「倉庫業」としており、倉庫業を営むには国土交通大臣の登録を受ける必要があります。また、登録にあたっては、保管する物品に応じた倉庫施設の基準を満たすことや、倉庫管理主任者を選任することなどが求められます(参照*1)。

一方、自家用倉庫は、製造業者や商社、問屋などが自らの貨物を保管するために使用する倉庫です(参照*2)。
同じ「倉庫」であっても、他人から寄託を受けて物品を保管する営業倉庫とは、法的な位置付けが異なります。

荷主が商品の保管を外部へ委託する場合は、委託先が倉庫業法に基づく登録を受けているかを確認することが、倉庫選びの重要なポイントとなります。

営業倉庫と自家用倉庫の違いをまとめると、次のとおりです。

比較項目営業倉庫自家用倉庫
利用目的他人から預かった物品を保管する自社の物品を保管する
他人の物品の保管×
契約形態寄託契約
倉庫業登録必要不要
適用法令倉庫業法建築基準法・消防法など
保管責任倉庫会社自社
主な利用例物流会社・3PLなどメーカー・卸売業・小売業

寄託契約と賃貸借契約の違い

倉庫を利用する契約には、物品の保管を委託する「寄託」と、倉庫などの場所を借りる「賃貸借」があり、両者は契約の目的が異なります。

民法では、寄託について「当事者の一方がある物を保管することを相手方に委託」する契約として定めています。一方、賃貸借は、一方の当事者がある物の使用・収益を相手方にさせ、相手方がその賃料を支払うことなどを内容とする契約です(参照*3)。

営業倉庫では、荷主から寄託を受けた物品を倉庫業者が保管します。一方、倉庫の賃貸借では、倉庫というスペースを借りて利用することが契約の中心となります。そのため、荷主が倉庫を選ぶ際には、料金や立地だけでなく、物品の保管を委託する契約なのか、倉庫スペースを借りる契約なのかを確認することが重要です。

登録が必要な事業・不要な事業

すべての「物品を置く行為」が倉庫業登録の対象になるわけではなく、線引きを理解することが重要です。

倉庫業は第三者から預かった物品を保管する営業形態を持ちますが、保管行為のなかには倉庫業に該当しない業態があり、その場合は倉庫業としての登録申請は不要と整理されています。
該当性の判断では「保管が主たる目的か」「寄託契約が独立して存在するか」が重要な判断基準となります。
運送契約に基づく物品の仮置きや荷さばき場、港湾運送業や貨物自動車運送業による一時的な保管施設である配送センターなどは、運送契約の履行に付随する一時保管と評価され、独立した倉庫業には該当しません(参照*4)。

この整理は、EC代行業者などが「配送センター」「フルフィルメント拠点」といった名称を用いていても、そこでの保管が寄託契約に基づく独立した事業であれば倉庫業登録が必要になることを意味します。名称ではなく契約と実態で判断する視点が欠かせません。

営業倉庫の種類と施設設備基準

営業倉庫の種類と施設設備基準を表すイラスト

普通倉庫(1類・2類・3類)の区分

営業倉庫は保管する物品の性質に応じて細かく分類されており、なかでも普通倉庫の1類から3類が中心的な区分です。

営業倉庫は保管する物品の性質に応じて分類されます。国土交通省は倉庫業を普通倉庫業、冷蔵倉庫業、水面倉庫業の3種類に分け、さらに普通倉庫業を1~3類倉庫、野積倉庫、危険品倉庫などに分類しています(参照*6)。

1類倉庫は日用品、食品など広範な物品を扱い、耐火・防火、防水、防湿、防犯などが求められます。2類倉庫は麦、セメントなど湿気や火災に比較的強い物品を対象とし、防水、防犯などが要件です。3類倉庫は地金、ガラスなど水濡れや温度変化に影響されない物品を対象に、防犯と強度が求められます(参照*7)。

預ける荷物の性質と、委託先の倉庫の種類が合っているかを確認することが、適切な保管環境を確保する第一歩になります。

冷蔵・危険品・野積など特殊倉庫

普通倉庫のほかにも、扱う物品に応じて専門的な倉庫区分が用意されています。

危険品倉庫は、消防法で定められた危険物や高圧ガスなどを保管する倉庫であり、極めて厳格な安全基準が適用されます。
冷蔵倉庫は、摂氏10度以下の低温で保管する必要がある物品を対象とする専門倉庫です(参照*7)。

このほかにも野積倉庫や貯蔵槽倉庫、トランクルームなどの区分が設けられています(参照*6)。冷凍食品や化学品のように保管条件が厳しい荷物では、委託先が該当区分の登録を受けているかどうかを個別に確認することが求められます。

倉庫管理主任者の選任義務

営業倉庫の運営には、現場を統括する倉庫管理主任者の選任が義務付けられています。
倉庫業法により、倉庫を運営する企業は倉庫管理主任者を設置し、火災防止や管理業務にあたらせなければなりません。基本は1倉庫につき1人が必要です。倉庫管理主任者は、倉庫の管理に関して2年以上の指導監督的実務経験を有する者、3年以上の実務経験を有する者、または国土交通大臣の定める講習を修了した者のいずれかが要件です(参照*8)。

主任者の存在は、火災防止や庫内管理の質を担保する仕組みそのものであり、無登録業者にはこの体制が存在しない可能性があります。委託先を検討する段階で、主任者の選任状況を尋ねることが実務上の目安になります。

無登録業者に委託するリスク

無登録業者に委託するリスクを図にまとめたイラスト

倉庫業法違反と罰則

無登録での営業は法律違反であり、事業者側には明確な罰則が用意されています。
倉庫業法第28条では、国土交通大臣の登録を受けずに倉庫業を営んだ場合、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその両方という罰則が科されます(参照*9)。
法令違反の事業者に荷物を預けているという事実そのものが、荷主側の取引継続にも波及する要素となり得ます。

火災・事故時の補償不備

無登録業者への委託で最も現実的な問題となるのが、事故時の補償の薄さです。
登録を受けていない業者に物品を預けた場合、事故や火災時に十分な補償を受けられない可能性があります(参照*10)。
EC事業では在庫が事業継続そのものに直結するため、火災や水濡れ、盗難が発生した際に、寄託約款と火災保険に基づいて補償が動くかどうかは死活問題となります。委託先が必要な保険を掛けていない可能性も踏まえ、契約前に補償の枠組みを書面で確認する必要があります。

荷主側の社会的信用リスク

無登録業者への委託リスクは、荷主自身の社会的信用にも影響を及ぼす可能性があります。
営業倉庫として登録を受けていない事業者に保管を委託した場合、荷主に対して直接の罰則が科されるわけではありません。しかし、事故やトラブルが発生した際には、委託先の選定が適切であったかを取引先や顧客から問われる可能性があります。十分な管理体制や補償体制が整っていない事業者へ委託していた場合には、対応の遅れや説明責任が課題となり、企業としての信頼に影響を与えるおそれがあります。
委託先の選定は、保管コストだけでなく、法令遵守や管理体制、補償内容まで含めて総合的に判断することが重要です。

委託先選定で確認すべきポイント

委託先選定で確認すべき4つのポイントを説明するイラスト

倉庫業登録証と施設証明の確認

委託先が営業倉庫であるかどうかは、書面で客観的に確認できます。
倉庫会社から倉庫業登録証の写しを提出してもらうことで確認できます。次に、管轄の運輸局に「倉庫施設等証明願」に必要事項を記載し、証明印を押してもらうことで確認できます。
倉庫業を営むにあたっては倉庫業法に基づく登録を受ける必要があり、この登録の有無は書面確認で判断できる客観的な事実です(参照*1)。委託先の営業資料や口頭説明だけに頼らず、登録証と施設証明の写しを取り寄せる運用を、契約前チェックの標準にしておくことが有効です。

保険加入状況と寄託約款の確認

登録の有無に加えて、保険と約款まで確認して初めて実効的な荷主保護につながります。
営業倉庫の主な特徴として、倉庫業法で定める耐震性や耐火基準を満たしていること、施設設備基準を満たしていること、倉庫管理主任者を選任していること、寄託約款を定めていること、火災保険に加入していることが挙げられます(参照*11)。

委託前に確認したい実務項目は次のとおりです。

  • 倉庫業登録証の写しと、対象拠点の倉庫施設等証明の内容
  • 貨物用火災保険の加入証明と、補償範囲・上限額
  • 倉庫寄託約款の内容と、責任範囲・免責事項
  • 倉庫管理主任者の選任状況

これらを契約前に一括で提出してもらう運用にしておけば、書類の有無そのものが委託先の実力を映す指標として機能します。

おわりに

営業倉庫と非営業倉庫の違いは、建物の外観ではなく、寄託契約に基づく保管責任を事業として負い、倉庫業法に基づく登録を受けているかどうかという一点に集約されます。登録された営業倉庫では、施設設備基準の充足、倉庫管理主任者の選任、寄託約款の整備、貨物用火災保険の加入といった、荷主を守る仕組みが制度として組み込まれています。

EC事業のように在庫が事業継続を左右する業態では、コストだけで委託先を選ぶことが大きなリスクにつながります。契約の前に、倉庫業登録証と施設証明、寄託約款、火災保険の内容をそろえて確認する運用を定着させ、荷物と自社の信用の両方を守る委託先選びを進めていくことがポイントです。


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